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一般社団法人PPP推進支援機構 設立趣意書

 我が国のPPP/PFI市場は、2000年のPFI法施行以来、公共施設の整備・管理運営を主とする案件を中心に発展してきた。2018年3月31日時点で、PFIの事業総数は、666件に上り、累積の事業金額ベースでは、実に5.8兆円に達している 。さらに、近年では、2016年に関西国際空港が民営化されたことを皮切りに、インフラ市場におけるコンセッション事業が行われるようになっており、2018年7月現在、空港で6件、道路1件、下水道1件が実施されている 。さらに、PPP/PFI事業を法律面でも推進しやすくするため、PFI法や水道法等関連法の改正に加え、一部の独立行政法人等が海外のインフラ事業について調査等の必要な海外業務を行うことを可能にする「海外社会資本事業への我が国事業者の参入の促進に関する法律」など、法制面においても、インフラ市場におけるPPP/PFI事業を地方公共団体が実施しやすくするための環境が着実に整備されてきている。

 なお、PPP/PFIは、公共部門の財政負担の軽減だけでなく、地方創生などの効果をもたらすものである一方、未だ地方公共団体のPPP/PFIに対する理解が十分に進んでいるとは言えず、空港を除くインフラ分野においては、案件形成が円滑に進んでいる状況ではない。さらに、PPP/PFI事業における株式譲渡も制限されており、国内においてはPPP/PFI事業における民間事業者の参入機会が少ないというのが実態である。

 反対に、海外インフラ市場においては、北米、豪州、インド、ASEAN地域などでPPP/PFI事業の形成が活発に進んでおり、PPP/PFI事業に精通した欧州企業のみならず、中国・韓国などの企業も積極的にこれらの事業に参入し始めている。こうした中で、本邦企業も海外に事業参入の活路を見つけていくことが喫緊の課題と考えられる。しかし、本邦企業は、国内においてもインフラ市場におけるPPP/PFI事業の経験が十分でないことから、事業リスクを過度に懸念してしまい、海外事業への参入には二の足を踏んでしまっている。独立行政法人国際協力機構(JICA)のもとで実施されるPPPインフラ型協力準備調査(PPP FS)では、これまでに数十件の調査案件が行われてきたが、事業化された案件はごく少数にとどまっている。

 こうした厳しい現実を踏まえ、本邦企業が海外PPP/PFI事業の実績を積むには、民間事業者が単独で案件形成と事業化に取り組むのではなく、日本政府の支援のもと、官民一体となって案件形成と事業化に踏み込む必要がある。具体的には、官民が相手国から入手した案件からPPP/PFIに適した案件を洗い出し、官民の協議のもと最適な案件を抽出し、その事業化のために一体となってPPP/PFIの制度設計、及び具体的な事業ストラクチャーの組成までを手掛けるプロセスが必要である。こうしたプロセスは、海外案件のみならず、国内案件においても同様に有効なものといえる。

 このようなPPP/PFI案件の事業化プロセスの上流から下流までの取組みを官民一体で実現するには、案件の構想段階から官民が情報共有し、意見交換をし、事業化するために必要な対応に取り組んでいくための受け皿となる場が必要であり、事業への出資を目的とした民間事業者と独立行政法人が集結する会議体をここに設立する。この会議体が、官民が連携してプロジェクトを進める推進力を生み出すプラットフォームとなり、具体的なPPP/PFI事業に参入する多数の民間事業者連合が形成されていくことを期待する。

i平成11年度~29年度の累計(参考資料:『PFIの現状について』内閣府 民間資金等活用事業推進室) ii参考資料:『コンセッション事業等の重点分野の進捗状況(H30.7.1時点)』内閣府民間資金等活用事業推進室

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